F _MASTER'S EYE

酸・塩基

NaOHの100滴目滴下

とうとう100滴目滴下です。何か起こりそうでしょ?さぁ、あと1滴滴下するとどうなるでしょう?



滴下!!

1滴滴下しました。…すると…

表 6: 100滴目滴下後
pH 滴下量 溶液中の物質量 H+ の濃度mol/l 水のコメント OH- の濃度mol/l 体積ml
7 100滴
全て中和された図
$ \displaystyle 10^{-7} $
水のコメント「中和点だ!」
$ \displaystyle 10^{-7} $ 20

水溶液中の$ \mathrm{HCl}$ による $\mathrm {H^+}$ がすべて中和されてしまいました。つまり水溶液中には酸による $\mathrm {H^+}$塩基による $\mathrm {OH^-}$ もないため、水の電離のみによる $\mathrm {H^+}$ $\mathrm {OH^-}$ だけが存在している状態となります。中性状態ですね

ここで大事なお話ですが物質量とは個数でしたよね。定義は大丈夫でしょうか?中和するためには酸の電離によって生じた $\mathrm {H^+}$ の物質量と同じだけの $\mathrm {OH^-}$ を加えてやればよいのです。

滴下する $\mathrm {NaOH}$モル濃度や、元の塩酸のモル濃度などはどうでもいいのです。中和に関してはモル濃度ではなく、物質量が関係しているということを覚えておいてくださいとても大事な考えですよ!化学の計算においては、常に物質量が問題になります。つまり個数の関係が一番大事ということです。

pHを求める

ところで、まだpHを求めてないことを覚えてますよね?今の1滴でpHがどれだけ変化したのでしょう?簡単ですね。99滴目がpH=3.3でしたから、変化したpHの量冪H

冪H$\displaystyle =7-3.3=3.6$ (16)

となります。答えは3.6ですね。最初は1滴で0.1程度しかpHが変化しなかったものが、なんと1滴3.6も変化してしまったわけです。$ \log$ で表されるということはこういうことなのです。

99滴目で塩酸の方に残っていた $\mathrm {H^+}$物質量$ 10^{-5}$ mol10-5molは物質量です。モル濃度と勘違いしないでくださいね。であり、それはちょうど滴下される1滴の中に含まれる$\mathrm {OH^-}$物質量$ 10^{-5}$ molと等しかったのです。

だから、残念なこと酸の電離による $\mathrm {H^+}$ は、pHを1つ増やすような濃度が$ \frac{1}{10}$となる濃度になることは出来ず、一気に0molにされてしまったのです。残ったのは水の電離による $\mathrm {H^+}$ だけになったわけです。

では次の1滴でpHはどのように変化するのでしょう?

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