さてこれまで、運動方程式の形がであるとか、何故運動方程式を立てたいのかとか、そういう基礎的なイメージを固めてきました。では、ここで運動方程式と言われたら何をするかということをご説明致します。
まず「運動方程式と言われたら…」という絶対的に私の薦める方法を説明しておきます。皆さんは運動方程式と言われたら何を想像するでしょうか?きっと
ですよね?でもこれ…やめましょう。どうも全ての理系教科において公式に捉われ過ぎる方が多いようですが、そもそも理系分野における公式というものは何らかの気持ち(発見者やその他の人々の)を含みます。その気持ちさえ理解できれば全てすぐに解決法(解法)が見つかりますよ。
ということで、この運動方程式も同じです。何でもかんでもと書けば済むわけではありません。私がよく見かけたのはと表された力が無いにも関わらず、すぐにと書いてしまう子達です。とりあえずこのは書かなくてならないものとして頭に定着しているのでしょうね…。これではいつまでたっても問題が解けるようにはなりません。
ではどのようにするかというと
とだけ書くんです。「」とだけ書いておいて、あとはゆっくりと物体に働く力を吟味して書くべき力だけを書くんです。
図の中で小球の左下にクルリン♪と巻いている渦巻きは、物体の動きを表しています。物理では加速度の設定方向は軸によって強制されるため、運動を表す別の指標があればわかりやすいかなぁとの思いからです。折角なので図20について考えてみましょう。まずは小物体の質量をチェックします。[kg]ですね。軸は右方向を向いています。ですから加速度[m/s]の正方向は当然右方向となります。この状態で運動方程式の前半部を立てましょう!
ではゆっくり図中の力を確認していきます(今回はあえて運動方向の力のみを描き、鉛直方向は無視します)。右方向へ[N]、左方向へ動摩擦力[N]が物体に働いています。ですから、物体には軸方向を確認して[N]の力が働きますので、式(8)の運動方程式を完成させると
ちゃんと軸方向は確認してくださいね。ということで、加速度を求めてみると
となります。ルールさえ守ればすっごく簡単ですよね!
そもそも運動方程式中のとは、物体にかかっている力の総称であり、実際にかかっている力に置き換えて書くものです。しかし、公式を絶対的なものとして捉えるあまり、どうしてもこのを書いてしまう人や、このという文字を問題文中に探す人が出てきます。…探すだけ無駄です。しっかりと式の意味を理解していれば、そんな報われない不必要な努力はしなくてもいいことが分かっていただけると思います。ですから、今後はとだけ書いて、ゆっくり考えましょう。もちろんこのは軸向きに定義してあります。ベクトル量ですから、当たり前ですよね?
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