F _MASTER'S EYE

酸・塩基

滴定曲線

ここからは滴定曲線の実験図の条件において、 ビュレットからNaOHを1滴滴下したときの様子について一つ一つ丁寧に考えて行きましょう。



NaOHを1滴滴下

ビュレットから1滴滴下すると

水酸化ナトリウムと塩酸の中和式 (11)

の中和反応が起こるわけですが、1滴には $\mathrm {NaOH}$ が10$ ^{-5}$ molしか含まれてないわけですから、その1滴で中和される塩酸の量も式(11)に示すように反応量は1:1の関係であり、$ 10^{-5}$ molとなります。下の表2にビュレットから $\mathrm {NaOH}$1滴滴下する前と滴下後のpHや水のコメント等を示します。

表 2: 滴下前と1滴滴下後
pH 滴下量 溶液中の物質量 H+ の濃度mol/l 水のコメント OH- の濃度mol/l 体積ml
1 0滴
\includegraphics[width=\textwidth]{../fig/tekitei100.eps}
10-1
\includegraphics[width=\textwidth]{../fig/comment_acid.eps}
10-13 10
1.01 1滴
\includegraphics[width=\textwidth]{../fig/tekitei99.eps}
9.8×10-2
\includegraphics[width=\textwidth]{../fig/comment_acid.eps}
1.02×10-13 10.1

水は水素イオンと水酸化物イオンのモル濃度のうち、多いほうに注目して数合わせをするんでした。この表2を見て気付いたでしょうか?滴下前は、酸による $\mathrm {H^+}$ が10$ ^{-1}$ mol/$ l$ となっているので、水は「水のイオン積」を $ 10^{-14}$ [mol/$ l$ ]$ ^2$ に保つために、 $\mathrm {OH^-}$ のモル濃度を10$ ^{-13}$ mol/$ l$ にしています。

滴下後の各値は溶液の体積が10.1m$ l$ になっていること、酸による $\mathrm {H^+}$ の数が 99×10-5molになっている( $\mathrm {NaOH}$ $\mathrm {OH^-}$ によって $\mathrm {H^+}$$ 10^{-5}$ mol分中和された)ことに注意して必ず計算しましょうね。自分で求めてみて下さい。きっと同じように求まるはずです。pHは当然式(1)を用いて求めています。ここで注目して欲しいのですが、 1滴ではpHは0.01しか増えていませんね

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Copyright (C) F_Master All rights reserved. 更新 Monday, 21.05.2012 10:49 pm

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