ではこのせめて最低必要条件、それだけ決まれば十分条件が何となくわかったところでもう一度ベン図との対応関係を見てみましょう。
式(3)の命題が「真」のとき、つまりベン図が図2のように描けるとき
が成立するわけです。要するに、ベン図において外の集合()は内の集合()が成り立つためのせめて最低必要条件で、逆に内の集合()は外の集合()が成り立つためのそれだけ決まれば十分条件となります。この関係をベン図の中に明示すると図3のようになります。
図3中で気をつけて欲しいのは、矢印の端にくっついている○で囲まれた「は」と「の」です。「は」が付いている方が主語になる方で、「の」が付いている方が目的語になる方です。
つまり主語が変わっていることに注目して欲しいのです。
ここで一つ考えていただきたいのですが
という命題があったとしましょう。やはこれまでと同様のものです。では、この命題は「真」なのでしょうか?「偽」なのでしょうか?
…もちろん当たり前ですが の書き方を逆にしただけですから逆・裏・対偶の中の逆じゃありません。素直にひっくり返したという意味の逆です当然「真」ですよね!ですから当然この命題においても
となります。本当に当たり前の話です。話は何も変わってませんから。もちろんこの命題のベン図も図3のようになりますよね?
この辺りで混乱している方、もしかしたらいらっしゃいませんか?
そう、学校で教わった矢印の向きがどうとかこうとかが全く意味をなさず混乱してきますよね。実際私がそうでしたし…。
そういうときは一度 俯瞰(ふかん)して広く全体を見渡すのがベストです。ということで、ここまでわかったことをまとめてみますよ?
「だったらだよね!」という命題が「真」のときののように、矢印を向けられた方は矢印のもとの条件であるためのせめて最低必要条件。逆にそのとき矢印のもとの条件は、矢印を向けられた先の条件であるためのそれだけ決まれば十分条件となります。
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