F _MASTER'S EYE

関数とは

y軸対称

今回も「$x$ 軸に対して対称移動」の時に使用した適当な関数y=f(x)のグラフを使います。



適当な関数y=f(x)について

図 57: 関数y=f(x)のグラフ
関数y=f(x)のグラフ

57のグラフを$y$ 軸に対して対称移動すると図58のようになりますね。

図 58: y軸対称のグラフ
\includegraphics[width=.4\textwidth]{gfct31.eps}

ではこの$ y=h(x)$$y=f(x)$ の式を使って表してみましょう。そのためには$ y=h(x)$$y=f(x)$ の関係を調べなくてはなりませんね。そこで$y$ 軸対称という特徴を表すような点に注目して図59のように$ x_1$$ -x_1$$ y_1$ を決めてみます。

図 59: 特徴的な点
\includegraphics[width=.4\textwidth]{gfct32.eps}

今回は$y$ 軸に対称に移動していますから、$ f(x)$$ x_1$ を代入した$ f(x_1)$$ h(x)$$ -x_1$ を代入した$ h(-x_1)$同じ出力$ y_1$ になっています。

ここで$ h(x)$$ f(x)$ で表してみたいのですが、もちろん $ y=h(x)=f(x)$ とは書けません。ですがこの辺まで理解してきた皆さんは、もう簡単に気付けるようになってますよね?$ y=h(x)$ のグラフは、$ -x_1$ を入れたときちょうど$ f(x)$$ x_1$ を入れた$ f(x_1)$同じ値になって欲しいグラフです。ですから$ h(x)$$ f(\ )$ の形で表すためには

$\displaystyle y=h(x)=f(-x)$ (58)

と置けばよいわけです。まず$ f(\ )$ に値を入力する前$-1$ 倍しておけばちょうどグラフが$y$ 軸に対して対称に移動したものになります。分かりますか?

△上へ戻る

適当な例

例えば$ x=1$$ f(x)$ に代入したときに$ f(1)=2$ になるとしましょう。そうすると$ y=f(-x)$ で表されるグラフにおいて、同じ出力$ y=2$なるためには$ f(\ )$ の中身が1にならなくてはならないわけです。しかし当然$ x=1$ を代入すると$ f(-1)$ になって$ f(\ )$$-1$ が代入されてしまいますので違う値が出力されてしまいますよね。どうすればいいでしょう…。もちろん$ x=-1$ を代入すればいいですよね?

つまり、$ f(-x)$ とは$ f(x)$ のちょうど$x$$ \pm$ 反転したものを入れたとき値が等しくなる点の集合なのです。

△上へ戻る

BLACK BOXにて

この辺まで来るとわざわざBLACK BOXで表さなくても十分理解できるでしょうか?…でも、念のために考えておきましょうか?

$\displaystyle y=x^2- 2x + 1$ (59)

もう何度目か分かりませんが、また式(59)にお世話になります。このグラフと、そして$y$ 軸に対して対称移動したグラフは図60に示します。

図 60: y軸対称の関係
\includegraphics[width=.4\textwidth]{gfct33.eps}

この対称移動後の$ y=h(x)$ は図61のようなBLACK BOXで表すことができます。

図 61: xの入力前にフィルターをかけて-1倍
\includegraphics[width=.8\textwidth]{blackbox14.eps}

ちょっと複雑な図になってしまったので説明しますね。本来の$ f(x)$入力はBLACK BOXの上からの縦の入力になります。そのときの出力$y$下に出ます。図のように、判定装置の右に回して、判定装置の右から入力します。

それに対して、BLACK BOXの左から$ h(x)$入力$x$ を入れます。今回は$ f(x)$ の方で入力する$x$ とちょうど$ \pm$反転した$x$入力します。まずフィルターを介して$-1$ 倍されてしまうので、BLACK BOXへの入力$ f(x)$$x$ と同じものになります。だから出力$ f(x)$ と同じものがBLACK BOXの右から出ていますね。それを判定装置に…かけるまでもなくすぐに一致していることが分かります。

つまり、フィルタの前にはちょうど$ f(x)$$x$$ \pm$ 反転した$x$ を入力したときにだけ判定装置になるわけですね。これで$y$ 軸対称のグラフを表す式が一発で表現できるようになったわけです。$y=f(x)$$y$ 軸に対称移動させたグラフを表す式は

$\displaystyle y=f(-x)$ (60)

となります。

△上へ戻る

具体的な式上での変形

折角ですから、式(59)を$ y$ 軸に対して対称移動したグラフとそのときの式を求めてみましょう。

図 62: y=f(x)y軸に対称移動
\includegraphics[width=.4\textwidth]{gfct33.eps}

式は元の式が $y=f(x)=x^2-2x+1$ ですから$y=h(x)$ と表される$x$$ y$ の関係は

$\displaystyle y$ $\displaystyle =f(-x)$ (61)
  $\displaystyle = (-x)^2 -2(-x) + 1$    
  $\displaystyle = x^2 +2x +1$ (62)

グラフを書かなくても一発で求まりますね。

まとめますと、

y軸対称と言われたら、元の式のx-xに変更してやれば終了!

ということです。ちゃんと意味を考えてからやってくださいね。私はいつも図58のような適当なグラフを描いてこの式を導くようにしています。10秒程度で出来ますし。記憶に頼らないというのが、私の中の鉄則です。全ては原理的なイメージから…。

△上へ戻る

Copyright (C) F_Master All rights reserved. 更新 Monday, 21.05.2012 10:35 pm

トップページへ | 数学トップページへ | アーカイブス | 次へ:原点対称 | 戻る:対称移動

y軸対称 | y=f(x)について | 適当な例において | BLACK BOXにて | 式上での変形

ホーム数学のトップページ関数の目次関数とはグラフの対称移動y軸対称