では質量と重さの違いについて考えていきましょう。
質量とは先ほども説明しましたように加速度の生じにくさ(動かしにくさ)を表した比例定数という扱いでした。単位は[kg]で表されます。実際には万有引力から考える質量もありますが、ここでは扱いません。高校物理において必要がないからです。
それに対して物理において使われる重さというものは「重力の大きさ」のことを指します。つまり力です。ですから単位は[N]となります。
普段実生活で用いる「重さ」という概念は物理における「質量」を意味するため、意味を混同し混乱を生じますが、たとえば「重さ60kg」という表現は物理においてはなされません。あくまで「60kg」は質量であり、重さというのであればその「60kg」の質量を持つ物体に働く重力の大きさを表すからです。
地表付近における物体はいかなるものであっても地面方向へ同じ加速度を生じます。実は緯度によって多少の違いがありますが、ここでは気にしません。この加速度を[m/s]とします。そうすると、質量[kg]の物体は当然加速度[m/s]を生じますから、運動方程式より
という地面向きに[N]の力を受けていることになります。
質量[kg]は物体の加速しにくさを表す量(物体が本質的に有する量)ですから、地球上でも月面上でも、宇宙空間でも変わりませんが、重さは重力の大きさ(相手がいることで相対的に決まる量)ですから、地球上や月面上では変わってしまいます。
月における重力加速度[m/s]は地球の重力加速度[m/s]の約 倍の という関係が成り立ちますので、月における質量[kg]の物体の重さ[N]は地球における重さ[N]の となってしまいます。
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