今度はバネ1とバネ2を並列接続してみましょう。並列とは横に並べる接続の仕方です。
バネ定数がそれぞれ[N/m]と[N/m]のバネを並列にしています。それぞれの自然長は等しく、図31の状態では自然長で、バネには何も力が働いていないものとします。では、この並列に接続したバネを力[N]で引いてもらいます。そうすると図32のようになります。
この状態でバネにはどのような力が生じているのでしょうか?もちろん
このようになりますね。力[N]と[N]を共に[N]としてはダメですよ。バネ1に働く力[N]とバネ2に働く力[N]は同じものではありません。直列接続のときに同じだったのは、あくまで正しく力のつり合いを考慮した結果に因ります。
今回は並列バネの右側の連結部に働く力のつりあいより
となります。
この連結部に働く左右の力がつり合っているため、連結部が静止しているわけですね。では今度はバネの伸びに注目してみましょう。今回バネ1もバネ2も共に[m]だけ伸びていることは明らかなのですが、とりあえずそれぞれのバネにかかっている力を個別に出したいので、あえてバネ1の伸びを[m]、バネ2の伸びを[m]として考えてみます。
そうするとそれぞれのバネが発揮する力[N]、[N]は
と表されます。あえてそれぞれのバネ伸びを[m]、[m]としたのは、あくまでバネの伸びはそれぞれの伸びで考えるべきだということを念押ししておきたかったからです。そこで式(17)、(18)、(19)より
ここで、当然のことながら並列ですからそれぞれのバネの伸び[m]と[m]は同じになりますね。バネが伸びた長さを[m]として ですから、式(21)に代入して
と書けます。では、これを図36のように1本に合成したと考えたときのバネで表してみます。
バネの伸びは[m]ですから、合成バネ定数を[N/m]だとすると
となります。式(21)と式(22)は同じものを表していますので、それぞれを見比べて
となります。つまりバネ定数[N/m]、[N/m]のバネを並列に接続すると、それを1本のバネだとみなして合成したバネ定数[N/m]は[N/m]と書けるということなのです。
さてこの意味を考えてみましょう。力[N]で引っ張っても、それぞれのバネには伸び[m]が等しくなるように力が分配されます([N]と[N]の合力が[N]と等しい)。そうすると1つ1つのバネには[N]よりも小さい大きさの力しかかかりませんので、どちらも単独で[N]をかけたときよりも伸びが小さくなります。つまり硬いバネとなるわけです。これが並列接続のイメージです。
少々長くなりましたので、ここら辺でまとめておきましょう。
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ということです。このバネに関する詳しい考察は私の知りうる範囲における参考書には書かれていませんでした。しかし、このバネにかかる力を1つ1つ考察していく過程において、力の発見法やその処理法を詳しく学べると思いまして、あえて詳細に説明してみました。日ごろの疑問が少しでも解消されたならば幸いです。
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