バネについてもう少し詳しく見てみましょう。バネは一体どのように力を発生させているのでしょうか?
バネは実は図10のような1巻きを基本としてそれぞれが同じ力を受けて、それぞれが同じだけ変化することによりトータルでの変位を示しています。などと言葉で言われても何が何やら…でしょうから、図を用いて説明しますね。
伸びる方を例にとって考えてみましょう。まず前提条件としてバネをそれぞれの1巻きずつに分割して考えます。今少女が力[N]で引いています。その状態で静止していて…つまり力がつり合っていると考えてください。そうしますと当然最初の1巻きには次の図12のような状態で力が働いているはずです。
力がつり合っているという条件からこのような図が想像できるでしょうか?さて、力とは決して一方のみに働くものではありませんでしたね。必ず作用・反作用の力として、ペアが存在します。ですから、1巻きバネの右のリングに注目したら、もちろん少女に働くバネからの力は図13のようになります。ではその少女の手元における作用・反作用の関係にある力を図示してみましょう。
復習になりますが、「作用・反作用の力」は(重力等以外は)一点において互いに逆方向へ発生し、一方の物体にのみ注目すると一度に両方の力を見ることは出来ません(図13(b)で発生している右向きの力は少女から見ることは出来ないということ)。
しかし「つり合いの力」は一点から発生するとは限らず、物体上であればどの点に働いても構わず、またその力は作用している物体から全て見ることが出来ます(図13において力が働いているバネから見ると、両端に働くこれらの力はどちらも見えるということ)。このことは絶対に理解して置いてください!
ですから、1巻きバネの右のリングに注目したら、もちろん少女に働くバネからの力は図13のようになります。
そうしますと図14のピンクの○の力にもペアの片割れがいるはずです。
それが
となります。つまりもう1つ左の1巻きのバネの右側に働く力が、最初の1巻きのバネの左に働く力と作用・反作用の関係にあるわけです。
当然この1巻きのバネも静止していますから、力がつり合いの関係にある力ですね。ということは図15のようにその左側にはまた左向きに力が働いているはずです。省略しちゃいますけど、大丈夫ですよね?そしてまた左側の力のペアが…と続きまして、結局一番端のバネが発揮する力も図16のように示すことができます。
この一番端の1巻きのバネにおいて左端の左向きの力は、バネが壁から引かれる力ですね。当然逆に壁もバネから引かれています。それも一緒に図16に示していますが、あえて色を変えてあります。青の矢印は壁が引かれる力です。注意してください。バネから青い力Fは見えません。
ではここでもう一度1つの1巻きのバネに注目してみましょう。今までの図のそれぞれの1巻きバネは等しく同じ状態になっていました。図17のような状態です。
もとの1巻きの長さが[m]で、この力
[N]が両端にかかった状態でバネは
[m]だけ伸びると考えてみましょう。
そうしますと、当然バネの1巻き1巻きがそれぞれ[m]だけ伸びるわけですから、トータルで…巻き数が
だとすると
[m]だけ伸びるわけです。これを今までは「バネの伸びが
[m]」と表していたわけです。図19ではバネの伸びΔxしか表していません。
a+Δxと書くとごちゃごちゃしちゃいますから…。でも本当は8a+8Δxですよ。
もちろん縮む場合の話もこれと同じです。折角ですからご自分で考えてみてください。
さてイメージの下準備が整いました。何故こんなことを説明してるの?と思った方も多かったでしょうが、これが分からないとバネの合成のお話ができないんです。ではいきますよ!
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