実は水は面白い性質を持っています。それが、水のイオン積です。…どこが面白いかわからないですよね? でもこのイメージがつかめると、酸塩基はかなり楽に理解できるようになります。だから、ちょっとつきあってくださいね。
水は式(3)のように水素イオン濃度[ ]と水酸化物イオン濃度[ ]の積を一定に保ちます。実はこれは、とても面白いことなのです。
ではわかりやすいように、最終的に保つ値を1000個だと思って図8を見てください。
ここでは、あえてAとBを合わせて1000個を保つとしましょう。Aが500個だったら、Bも500個ですね。 ちなみに、Aが800個だったらBは当然200個になり、合計はさきほどと同様に1000個になります。 これだったら直感的にわかりやすかったですね。しかし、水のイオン積はこのように単純にはいきません。 では図9を見てみましょう。
図9ではAとBの積を1000個に保つようにしています。Bが1個だったらAは1000個になりますが、 Bが2個になった途端Aは500個、つまりさっきの半分になってしまいました。 そう、水のイオン積はちょうどこの積の値を一定に保つ形でした。 つまり水は と のモル濃度の積をいつも監視し、 常に一定になるようにモル濃度を調整しているのです。
のモル濃度が10倍になると のモル濃度を 倍にして積を保たなければなりません。一定に保つのが簡単な和に注目して一つひとつを移し変えているわけではなく、 あえて一定に保つのが大変な積を選んでいるのですから面白いというか変わってるというか…とても変わった性格ですよね。
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