F _MASTER'S EYE

関数とは

y=αに対して対称移動

ここから最終仕上げに入ります。かなり一般化して理解できるようになってきたと思いますので、もう一つレベルアップして、ほとんどの対称移動系統の問題を即答できる解法を身につけましょう。



一般化した関数のグラフで考える

では、$y=\alpha $ に関して対称移動について考えていきたいと思います。この場合$\alpha $ は「$ +$ 」でも「$ -$ 」でもどちらでも構わないのですが、わかりやすいようにとりあえず「$ +$ 」扱いで解いていきます。もちろん出来上がった式においては± のどちらでも対応しています。とりあえず今までと同様に一般化した関数$y=f(x)$ を考えてみましょう。

図 69: 関数y=f(x)のグラフ
関数y=f(x)のグラフ

69中には$y=\alpha $ である対称軸も示してあります。さてこの$y=\alpha $ という対称軸に対して対称移動するとどのようなグラフになるでしょうか?

図 70: 関数y=f(x)y=αに対して対称移動
関数y=f(x)をy=αに対して対称移動

b1すぐにわかりますね。図70中の$y=g(x)$ のようになります。ではこれを式で表すにはどうしたらいいでしょうか?

b2今まで学んできたのは、「$x$ 軸方向に平行移動」「$y$ 軸方向に平行移動」という2つの平行移動と「$x$ 軸に対称移動」「$y$ 軸に対称移動」「原点に対称移動」の3つの対称移動でした。これらを組み合わせると今回の「$y=\alpha $ に関して対称移動」が解けるようになります。では考えて見て下さい。

よくある惜しい間違いが次のようなものです。

  • x軸に対して対称移動
  • 次にy方向へαだけ平行移動

どうでしょう?このように考えませんでしたか?でも残念ながらこれは不正解です。では実際にやってみましょう。まずは元のグラフ$y=f(x)$$x$ 軸に対して対称移動させます。

図 71: 関数y=f(x)x軸に対して対称移動
関数y=f(x)をx軸に対して対称移動

ではこの図71中の$y=G(x)$$y$ 軸方向へ$\alpha $ だけ平行移動してみましょう。

図 72: 関数y=G(x)y軸方向へαだけ平行移動
関数y=G(x)をy軸方向へαだけ平行移動

上に飛んでも補足から「b1へ」ですぐに戻ってこれます。どうですか?この$y=H(x)$ と図70$y=g(x)$ との違いがわかりますか?折角ですから図72$y=g(x)$ も重ねてみましょう。

図 73: 関数y=H(x)y=g(x)との比較
関数y=H(x)とy=g(x)との比較

全然違いますね。$y=H(x)$$y=g(x)$重ならないためダメです。では一体どうしたらいいのでしょうか?

$y=\alpha $ に対して対称移動とよく似ているのはx軸対称ですよね?しかし当然我々は$x$ 軸における対称移動しか学んでいません。だったら、対称軸をx軸に重ね合わせてやれば良いのです。つまり対称軸$y=\alpha $$y=f(x)$ のグラフごと、$x$ 軸に重ね合わせてあげると今まで学んできたことが使えると思いませんか?

図 74: y=f(x)ごと対称軸をx軸に重ねる
y=f(x)ごと対称軸をx軸に重ねる

74の右図は$y=f(x)$対称軸と一緒$y$ 軸負方向へ$\alpha $ だけ下げました。ここで$y=p(x)$x軸に対して対称移動してみましょう。

図 75: 関数y=p(x)x軸に対して対称移動
関数y=p(x)をx軸に対して対称移動

75のように$y=q(x)$ となりました。これで終了ではありませんね。対称軸ごと$x$ 軸と重ねているので、対称軸と関数を元の位置に戻さなくてはなりません。では対称軸と関数$y=q(x)$$y$ 軸方向へ$\alpha $ だけ平行移動してあげましょう。

図 76: 対称軸と関数y=q(x)を元の位置へ
対称軸と関数y=q(x)を元の位置へ

ここへ戻って来るときはb2へを選んでください。76の左辺が$y=q(x)$$y$ 軸方向へ$\alpha $ だけ平行移動して$ y=r(x)$ となった図で、図76の右辺は図70と同様に最初の関数を$y=\alpha $ に対して対称移動した図です。見比べると、$y=g(x)$$ y=r(x)$ が同じグラフであることが一目でわかりますね。

今まで行ったことを一度まとめて、そこから式上で表現してみましょう。

  • 対称軸をx軸に重なるように平行移動
  • x軸に対して対称移動
  • 対称軸と関数を元の位置へ戻す

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グラフの移動を式上で

この作業を式で表すと、元の関数は$y=f(x)$ ですから

$\displaystyle y+\alpha$ $\displaystyle = f(x)$ (69)
$\displaystyle -y + \alpha$ $\displaystyle = f(x)$ (70)
$\displaystyle -(y- \alpha) +\alpha$ $\displaystyle = f(x)$ (71)

式(69)はx軸に重ねる平行移動を表します。式(70)はx軸に対して対称移動を、そして式(71)は対称軸を元の位置に戻すことを意味します。

ここで式(71)を「$ y=$ 」の形にしてみましょう。

$\displaystyle -(y- \alpha) +\alpha$ $\displaystyle = f(x)$    
$\displaystyle -y + 2\alpha$ $\displaystyle = f(x)$    
$\displaystyle y$ $\displaystyle = -f(x)+2\alpha$ (72)

遂に求まりましたね。つまり$y=\alpha $ に関して対称移動とは元の関数を$y=f(x)$ としたときに $ y=-f(x)+2\alpha $ を解くことに他ならないわけです。もちろん私は極力暗記することを避けるため、式(69)〜(71)を毎回作りますが…。

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具体的な式で

では、毎回恒例の $y=x^2-2x+1$$y=2$ について対称移動させてみましょうか?ではまず適当に関数を描いて…というのはさすがに上でやったので、わかりますよね。それから$x$ 軸に対称軸を移動させ、$x$ 軸回転させ、そして対称軸を元に戻す。その作業を式上で表現すると

$\displaystyle y+2$ $\displaystyle = f(x)$    
$\displaystyle -y + 2$ $\displaystyle = f(x)$    
$\displaystyle -(y- 2) +2$ $\displaystyle = f(x)$    
$\displaystyle y$ $\displaystyle =-f(x) + 4$ (73)

ここで $ f(x)=x^2-2x+1$ ですからそれを式(73)に代入して

$\displaystyle y$ $\displaystyle =-f(x) + 4$    
  $\displaystyle =-(x^2 -2x + 1) + 4$    
  $\displaystyle = -x^2 + 2x +3$ (74)

となります。これを平方完成してみましょう。

$\displaystyle y$ $\displaystyle = -x^2 + 2x +3$    
  $\displaystyle = -(x^2 -2x) + 3$    
  $\displaystyle =-(x-1)^2 + 4$ (75)

この式で本当に $y=x^2-2x+1$$y=2$ に関して対称移動したグラフを表せているのか、実際に $y=x^2-2x+1$$y=2$ に関して対称移動してみて検証してみましょう。

図 77: y=x2-2x+1y=2に関して対称移動
y=x<sup>2</sup>-2x+1をy=2に関して対称移動

式(75)で示されたように頂点が$ (1,\ 4)$ で、上に凸のグラフになっていますね!これでちゃんと求まることが分かっていただけたでしょうか?

つまり

「元の関数をy=f(x) としたときy=α に関して対称移動したグラフを表す式は y=-f(x)+2α となる」

ということです。式を暗記するのではなく求め方を覚えて瞬時に式を作り出してしまう…それが能力です。

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Copyright (C) F_Master All rights reserved. 更新 Monday, 21.05.2012 10:36 pm

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