さて、ここまでは物体に力が働いたときに、その力の効果を一体どのように評価したらよいかということをイメージも含めて説明してきました。ここからは、「仕事」にさらに注目して話を進めていきます。
まず仕事の定義をしておきます。
物体に外力F[N]が加わって、距離x[m]だけ動いたとき、その物体には仕事Fx[J]が加わったと定義する。 |
図14では、男の子が物体を力[N]で軸の正方向へ押しています。その結果物体が距離[m]だけ移動しましたね。この移動最中、男の子はずっと同じ力[N]で押し続けていました。このとき、定義から男の子は物体に[J]の仕事をしたことになります。
仕事が加わると物体には一体どういう現象が起こったのでしょうか?
仕事を加えると、物体が動きます(正確には止まってる物体が動いたり、動いている物体が止まったりします)。当たり前に思えるかも知れませんが、これが一番大事なことなのです。力を加えただけでは物体が動くかどうかは分かりません。しかし物体が外力により仕事をされると必ず物体の運動が変化します。ここで言う、「物体の運動の変化」とは「物体の加速度の変化」のことを指します。つまり「加速度が変化する→速度が変化する→物体の運動状態が変化する」というわけなのです。
逆に見てみましょうか。「加速度」とは「1秒間あたりの速度変化」で、「物体の加速度が変化する」ということは「その物体の速度が変化する」ということ、「速度」は「1秒間あたりに物体がどれだけ移動するか」を表していますから、物体が動いたことを意味しています。これを上では「物体の運動状態が変化する」と表現しました。さらに加速度が変化した理由は「力が加わったから」。これは運動方程式のところでやりましたね。ですから、「力が働いて物体が移動した」ということはつまり「物体は仕事をされた」ということになるのです。
物体に力が働いたときの考えるべき「流れ」を図15に示します。まだモーメントの部分を加えていませんが、とりあえずここでは、これまでの部分のまとめとしてこれだけ挙げておきます。
仕事に関するイメージをまとめますと、
物体が仕事をされると、運動状態が変化する。 |
ということになります。男の子(外力)から仕事をされたよ〜!というイメージを加えたものを図16に描いておきます。
最後に仕事の単位について触れておきます。仕事が加えられた力[N]と移動した距離[m]の積としてと表されるのはもうずっと言ってきてるのでお分かりだと思います。その単位をいきなり[
[J] = [N・m] | (3) |
という関係が成立します。これは単位から物事を考える上でとても重要になってきますので、しっかりと同じものだということを認識し、自分で書けるようにしておいてください。いつか役に立ちます。
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