折角力に関する事項について説明していますので、ついでにここで外力と内力に関することもご説明致します。
皆さんは内力と外力の定義をしっかり言えるでしょうか?ここをおろそかにすると、100% 力学は理解できません。なぜなら、これより先、「力学的エネルギー保存則」や「運動量保存則」などが使えるのか使えないのかが判別できないからです。
では外力からいきましょう。外力とは「注目物体の外から働く力のこと」です。よくわかりませんか?まずは注目物体の概念からですよね。物理ではどの物体についての話なのかというのがとても重要になってきます。そして今回めでたく注目された物体が注目物体ということになります。
今、図5のような状態を考えてみます。今回どちらに注目しましょうか?少年に注目すると
のようになりますし、また大玉に注目すると
これが注目物体の考え方です。当然そのどちらにも同時に注目した場合は
のように見えます。図8のように同時に注目する意味も当然あるわけですが、最初はまず図6や図7のように片方に注目したらその他は全く見えなくなるというイメージを持ってください。これがとても重要なんです。
では外力について考えてみましょう。もう一度言いますが、外力とは「注目物体の外から働く力のこと」です。まずは外力云々を考える前に図5において、その系に働く全ての力を書き込んでみます。あくまで少年と大玉にのみで、地面に働く力は描いていません。
これではどれが外力か決められません。なぜならば注目物体を決めていないからです。ですから、注目物体を決めてみましょう。まずは少年に注目します。そうすると
という力が見えます。つまり少年には何かわからないけれども手に軸と逆方向に[N]、地面から足へ水平方向に[N]、地面から垂直抗力[N]、最後に接触しなくても例外的に働く重力[N]が見えます。そのどれもが少年には何故働くかは分からないけど働いているのです。まぁ実際は見えてますから分かるんでしょうけど、周りが真っ暗で天地すらわからないとすると、それら何かの力の正体はやっぱり分からないわけです。だから外力なのです。
では、大玉に注目した場合はどうでしょう?もう分かりますよね?
大玉から見える力はコレだけです。ですが、当然周りは真っ暗ですから大玉には何故これらの力が働いているかは分かりません。ですから、外力です。
では、少年と大玉のどちらにも注目した場合はどうでしょう?
…実はこれらが全て外力ではありません!次の図13をご覧下さい。
今回少年と大玉の2つを同時に注目してしまったので、その2物体の間に働く力は、何故働くかが分かっているのです。だって、少年と大玉の2つともが見えているわけですから、そりゃ接触したら力は働きますよね?だから、ピンクの○で囲った部分に働く力、すなわち作用・反作用の関係にある[N]のことを内力と言います。つまり「注目物体間で働く力のこと」を内力と定義するのです。もちろん1物体内でも作用・反作用の関係にあるどちらの力も見えている場合はそれも内力ですが…、どのように決めたかというイメージさえ知っていればそんなことはすぐに分かりますね。
ですから、少年と大玉に同時に注目した場合の外力は図14のようになります。
上で内力の説明はしてしまいましたので、そのままの勢いで内力も示しますが、今回、少年だけに注目しても、大玉だけに注目しても内力は見つかりません。つまり、内力があるのは、「少年と大玉に同時に注目した場合」のみで
となります。この内力と外力を見分ける能力は実はとても重要で、これが分かっているかどうかが、力学が得意かどうかに直結するのです。しっかりとマスターしましょう!
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