問:バネ定数20[N/m]のバネがある。図1の場合、バネの自然長からの伸びはいくらか?
センター試験でも出た典型問題です。しかし、バネの本質が理解できていないと、ただ解法の手順を暗記するだけになってしまうタイプの問題ですね。
では、「力はどこに発生するのか」へ
「バネが発揮する力」へ「力はどこに発生するのか」のページと「バネが発揮する力」のページをすでに熟読してもらっている前提でお話します。例えば図2のようにバネに1[N]の力が加わっていると考えます。そのときバネはどのような力を発揮するのでしょうか?
もちろん、図3のようになりますよね。
図3にはバネが発揮する力を青で、またその力を発揮するきっかけになった外力を赤で示しています。
バネの右端では外力1[N]が働いたせいで発生する作用・反作用の力1[N](左向き)があります。これが分からない方は「外力と内力」へ
「つり合いと作用・反作用」へ「外力と内力」や「つり合いと作用・反作用」のページをご覧ください。また、バネは伸び縮みに比例して、両端に同じ力を発生させますので、左端にも1[N]の力を右向き(バネが縮む方向)へ発生させます。
このバネが発揮している力をよくご覧下さい。右端にかかる右向きの力1[N]によってバネは、その1[N]に応じた自然長から伸び を発現しているわけです。その伸び によって、バネは内向きの力1[N]を発揮するのです。問題文にあるようにバネ定数を20[N/m]とすると、1[N]の外力によってバネはどれだけ伸びるのでしょうか?
力のつり合いの式より
m | (1) |
では、今回の問題の図1においてバネ働いている力を図示してみましょう。
さて、図4を見れば一目瞭然ですが、バネは両端を滑車を介して物体に1[N]の力で引かれています。当然作用・反作用の関係より、バネは静止するためにバネの内向きに1[N]の力を発揮します。このバネの状況ってどこかで見ましたよね?そうです。図3においてバネに働いている力の関係図と全く同じです。ということはつまり、バネの伸びは当然図3と同じになるということです。つまり
[m]ですね。
左右に同じ大きさのおもりを付けられて静止しているバネの伸びを考える場合は一方は壁と考えればよい。
と言っている参考書もあります。別にそれでも構いませんが、バネにかかる力の本質を理解しておいてください。方法論ばかり覚えると、その方法で解けない原理的なことを聞かれている問題でボロが出ます。極力そうならないように勉強してくださいね。